一点突破、全面展開。
新しい事業を展開する際の基本的な戦略の一つとして、『一点突破、全面展開』という考え方があります。既存事業を行いつつ新規事業を開発するには、人も時間も限りがあります。ベンチャー企業が事業を起こしていく場合でも同様で、リソースに限りがあります。湯水のようにリソースを使っていては、製品・サービスを生み出し参入障壁を突き破って市場に参加する前に、体力を使い果たしてしまいます。
そこで、あちこちに資源を分散せずに、もてる力を細い錐のように一点に集中し、固い壁を一気に突き破るような体制をつくり、事業を推進してゆきます。そして、固い壁を突き破ることができたらその突破口から全面展開して行きます。このような考え方を、首記のように表現します。
これを『小さく産んで、大きく育てる』と表現する方もいます。まだ業界の知識が少なくてリスクが読みきれずに多くの資源を投入することが出来ない段階では、トライアル的にその事業に取組み小さくてもいいので成功事例をつくり、その実績をテコに多くの資源をかき集めて本格的な事業を展開してゆく、という戦略です。
このときに穿ち(うがち)易いポイント(=参入しやすい市場セグメント)を攻めるかどうかは慎重に判断したいところです。入り口を選ぶときに安易な選択を行うと全面展開がうまく行かず非常に小さな事業から成長できないこともあります。市場の構造を良く見極めて、長期的な展開がスムーズに運ぶような戦略的な入り口を攻めることの重要性も、この一点突破の戦略の際に忘れないようにしたいものです。