東北工大の学生さんが授業で開発したゲームのプレゼンを見てきました。
最近、Fandroidの活動を始めたことで、また面白い出会いが増えました。その一人が、東北工大の堀江先生です。(雰囲気が生文高の倉本先生とちょっとにています。アートの先生っぽい感じが、と言いますか)
堀江先生の所の生徒さんが、授業課題としてアナログなゲームを作り、そのプレゼンの場があります、ということで見学させてもらいました。
写真を中心にアップしたいところですが、彼らのアイデアのレベルの高さや授業の風景ということもあって、今回は、ぼかした画像のみ、アップします。(かなり面白かったので、本当は、雰囲気も含めて伝えたいところです)
まず、冒頭に、各チームのゲーム内容についてのプレゼン。
ネコミミを付けた「犬役」と、もふもふの綿を付けたヘルメットを被った「羊役」の男子学生さん。はにかみながら、ネコミミカをつけているあたりが、場を和ませます。
全部のチームがプレゼンをしました。全てがさっとわかるチームもあれば、難しそうで、実際にやっている感じが想像できなチームなど。
プレゼンに力を入れて作ったチーム、割と、プレゼンがうまく行かなくて(多分)悔しい思いをしただろうチーム、など様々。
プロジェクターの輝度が甘い場合、スライドの中の文字のコントラストはぼやけるので「彩度」を意識していない文字色(黒字に赤の文字とか)は、かなり見づらいし、プレゼンの機器によっては、改行がくずれたり、背景色の設定が強制的に変わったりで、かなり大変な思いをされた方もいました。社会人になってプレゼンをなどもすると、そういう悔しい目に合うし、そうならないために、見え方や機器動作チェックもするようになるし、バックアップ用に画像化スライドやPDFファイルも作っておくようになりますが、そういうことを初めて人が学ぶ場に、立ち会ったようで、むずむず。失敗して次はもっとよくなる。学生のうちにそういう経験をさせるこの授業は、素敵だなぁと思いました。
その後は、お菓子を食べながら、実際にゲームを体験させてもらいました。多分3時間ちょっと。久々にゲーム試作の時間に没頭した時期を思い出しました。
これは、プレイヤー1が犬、ブレイヤー2が羊(白と黒がある)が、戦うゲーム。シンプルな操作、ルール、単純な板面ですが、年齢層が非常に低い層でも、楽しんで遊べる秀逸な作りでした。目の前に見えるこの段階に来るまでに、非常に工夫をされたなというのは、作り手側の経験に照らしてみてわかりました。ボードの盤面の広さ、コマの数、勝利条件づけ。秀逸だなと思ったのは、これは難しい戦略性を考えない二人でもすぐに完全なルールで遊び始めることができるし、その単純なルールは、板面広さ・駒数多さと相まって、かなり戦略的な仕掛けをプレイヤーがしていくこともできます。
駒が実際の動物であることもいいですね。リアル物をアイコン化していくとそれは、チェスの人形のような抽象造形だったり、将棋のように同じシェープに文字でその駒の名前を書いたりしますが、コストを度外視するならば、人間がより直観的にわかるアイテムにする、というのは、とてもいいと思います。量産する時にはもちろん、コスト見合いで工夫が必要ですが、基本姿勢としてそれはいいなと。
ちなみに、犬役をやってみたのですが、負けてしまいました。作った人は戦略パターンそのものを本質から知っているので強いわけですが、それにしても、なるほどこういうことが起こるのか、とかなり面白かったです。次には羊役をやったのですが、あっという間に捕まえられてしまいました。あれ、さっきは、あんなに捕まえるのに苦労したのに・・・。と。
将棋やオセロ、チェスはお互いに同じものを持って、攻守入り乱れるわけですが、これは、逃げる側・守る側にわかれる点がおもしろいです。ゲームでいうと環境ゲームで「地球破壊側」「環境を保護する側」に分かれたバトルや、スコットランドの街を逃げおおせる「犯罪者側」「それを捕まえる側」と別れているわけですが、そういう非対称な行動のゲームというのも、やはり面白いですね。
次は、秘法を集めて脱出するゲームを体験させてもらいました。
最初に感心したのはルーレットでした。ルーレットはなかなか難しいパーツなのですが、チューブ歯磨きのキャップと画鋲であっさりと十分なクオリティーを出しているあたり、素晴らしいと思いました。
イベントカード、アイテムカードも各200枚を超えるもので、それらを考案する・制作するのは大変な労力であったろうと思います。一つ一つに絵も入っていてなかなかのクオリティ。
ゲームの盤面が均等にイベント出現アイテム出現なのですが、モノポリーライクな、盤面上に傾斜配分があってもいいかなとおもいました。しかし、ゲーム後半で一定のエリアに近づきたくないモンスターが出現(それがカードのランダムによって出現するけれど、一度出てしまうとそこにはしばし危険がずっとつづく)という面白い設計で、なるほど、と思いました。
私は、直前まで遊んでいた人に代わってもらったのですが彼女がフル装備を備えていたのでバトルは楽だし、カードの引きがいいので、無的に近い感じだったのですが(ちなみにまったくの余談ですが、カードの引きの良さ、というのは、あるんでしょうかね。やたらいいカードを引き当てる人が友人でいます)、最後の最後、もうこれで、自分の母艦マスにもどれば終わり!というところで、偶然に他のプレイヤーとのバトルになり、負けてしまい、最後の最後でまた旅に出ないといけないという状況に。これは偶然おこったからこそ、盛り上がる要素でした。そうこうしているうちに他のプレイヤーも次々と勝利条件をそろえ始めて、自陣に戻り始めました。そうなってくるとゲーム終盤は盛り上がってきて、私は他のプレイヤーとの接触で、勝利条件をくずさせてしまい、なんとほかのプレイヤーの引いたカードが(自陣に戻る)だったので、いきなりタナボタ的に勝利してしまいました。
長い時間、遊べるし、人生ゲーム的なものなのに、他のプレイヤーとの勝負があることも面白いと思いました。分岐では偶然性があり、うまく移動をできることもあれば、そうでないこともあり、その辺がゲームのひたすらな目的達成をさせない工夫でした。この長い時間を共有するゲームであれば、プレイヤー間にもっと、会話が増える要素があったらまた違ったトーンの面白さも含めることが出来そうだと思いました。
ボードがたたむとトランク(冒険者のトランク風)になっていて、その辺の楽しさの演出も素敵でした。この部品点数の多さが製造する場合には原価高になるなぁとは思うのですが、一品のコンセプトモデルとしては、十分ありかと。
長くなってしまったので先を急ぎます。
次は、カヤックの野崎さんがプレイヤーとしてやっているものを横から見学させてもらいました。
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板面が三次元的になっていてお城に上る感じもあるし、板面がクリアなもの出てきているのもまた質感があって素敵でした。三種類のコマを使って相手の王をとることを遊ぶのですが、地下通路で板面をスキップできることで抑止力になったり、影武者のうち一つが本物でそれを予め伏せたカードで宣言しておく、というのは面白いゲームシステムだと思いました。ある意味、どら、に近いそれを、自分たちでセットするような。
ゲーム展開を多様にするイベントカード、攻撃カードがあって、一気呵成にいけるところもあったり。攻撃力はサイコロ勝負なので出目の偶然性にも影響されて危なくしのぐシーンも。
デジタルゲームならば、十分にいけそうなシンプルさで、アナログゲームとしては、最初の1ゲームで理解して次からが戦略的に動かせるかな、という感じでした。なんども友達と遊んで楽しんでいけるタイプのものですね。これはこれでよくできています。複雑な説明になりがちなところをかなりすっきりとした説明でマニュアルにしているあたりも、これはかなり練ってつくっているだろうことがわかりました。
アナログの世界でもここまで、デジタルゲーム風な感じのテイストやルールをつくれるのか、というのが大きな学びでした。最近のゲームは、アナログはデジタルにできないものにしていく傾向と、アイテムやルールを単純にしていく傾向があるように思っていましたが、それもその限りではないなと。
最後に飛び込みで15分だけ体験したのが、恐竜と卵のゲームです。
駒が全て手作り。恐竜。いいですね、男の子たちはすごく喜びそうです。もっといえば、商業化した時に、「がちゃがちゃでとってきたナンタラサウルスを盤面上に7体召喚!付属カードの攻撃力で敵を倒せ」みたいなカードバトル市場とフィギュア市場の融合点を想起することができました。
盤が大きければ、大人に人気のフィギュアで同じように遊ぶことはできるので、意外とこれは面白い可能性があるのではないかと思いました。
使うフィギュア―が何でもアリで、iPhoneで撮影すると、その写真の特徴点から、体力、防御力、特殊技能、が自動生成されて、それをフィギュアごとに付与して戦う。そんな商業イメージも想起で来ました。
ゲームシステムとしては、今の単純さはいいと思いました。一撃必殺ではなくある程度の体力を持っている、敵の心臓部を突進して叩きに行く事もできるし、総力戦で戦うこともできる。そういう自由度感は単純ながら遊びの幅がありいいですね。
他にも面白そうなゲームがあったのですが、時間の関係でここまででした。
貴重な体験ができました。多くの学びをいただきました。ありがとうございました。