「SHOT NOTE」の産みの親。実は若いころに仙台で出会っていた青年でした。
8月10日、珍しく人と待ち合わせて新幹線に乗りました。
私はこの日を非常に楽しみにしていました。
話しは少し前にさかのぼります。
「SHOT NOTE (ショットノート)」
http://www.kingjim.co.jp/sp/shotnote/
2011年2月に、キングジムが発売した「デジタル連携を容易にするノート」で、すごく面白いコンセプトだと思って注目していました。
ノートにマーカーが付いてて、スマートフォンで撮影すると、その紙面が台形補正されてデータとして取り込める、というノートです。
ラインナップは、4種があります。
■メモパッド
デジタル連携だけじゃなく、単体としてもよくできていると感心するのが、粘着部です。上部の帯状についているのに加え、中央に一円玉ぐらいの大きさで粘着部があります。これにより張ったものがカールせず、風にあおられてめくれて取れることもありません。剥がしやすさはそのままに。
210×148のルーズリーフのリフィル
サイズは、このA4と、B5版(大学ノートサイズ)があります。これも、よく考えられていて、これ単体でも利用が十分可能です。かつ、他の形状に比べて安価なので、これを試しに使ってみるのも良さそうです。どう工夫されているかというと、やややわらかめのクリアフォルダのような材質の透明なケースに入っていてこれ単体を持ち歩くことができます。黒い仕切り板があるので、書いたものを板の後ろにおくれば、「A5版のアイデアカード;フォルダー」として、運用できます。ルーズリーフを所有する予定がない人(私もそうですが)にも、単体での利用を提案しているあたりが、面白いですね。
・・・
私は、カメラ付きのスマートフォンを持っていなかったので、純粋に文具としてだけこれらを一通り使ってみて、よくできているなーと、そのアイデアの重層さに感心していました。いつか、これを作った人に会いたいなぁと思っていました。
さて、新幹線を待ち合わせた話に、一気に戻りますが、その新幹線で待ち合わせたのが、キングジムの遠藤慎さん。ショットノートの産みの親です。

どうやって知り合ったの?、そして、なんで一緒に仙台に向かうの?というと、長い話もあるのですが、簡単に言うと、遠藤さんは仙台出身で、昔、アイデアプラントの創世期の活動(アイデアだしの代行サービス・アルバイト。カヤックの元気玉に似ています。)に、大学生として参画してくれていた遠藤君でした。彼の参画したブレストは、非常に顧客からの評価が高く、アルバイト代としては過去最高金額をたたき出したアイデアプラント内、伝説の案件です。(ちなみに、クライアントからもらったお金はすべてアマゾンチケットに変えて、参加した学生さんが教科書や専門書を買うお金にしてもらっていました。)
彼が、その後、文具メーカに就職したことは覚えていたのですがうろ覚えで、KoかKiのどっちだったかなと、思っていました。そして、6年ぐらいの月日が流れて最近、遠藤さんからメールをもらいました。そして、彼がなんと、「SHOT NOTE」の開発者だと知り、驚きました。
その目で、この文具のデジタル連携する紙という、メインのアイデアや、リフィルの単体での活用方法の提案が暗に入っているところなどの細かい点でのアイデアとか、なるほど、とうなずいていました。
今回は、私が、東京から仙台に戻る日と、彼が仙台に帰省する日が一緒だったので、時間を合わせて上野から一緒に乗りました。
ここには書くのをやめておきますが、「創る」という営みについて、面白い話もたくさん伺いましたし、文具や知的活動の周辺の事を話している中で、よく脱線して文具アイデアをブレストしては、また、本題に戻る、という感じの楽しい車中でした。

ノートがさっと、出てきてメモをとりますが、それはやっぱり、SHOT NOTE。作った本人が使っている様子は、興味深く。中身に配慮して写真はぼかし気味に。
特に、遠藤さんのチーム組成の視点や、ブレストの方法、ブレストをする場所など、この辺は、創造工学の研究の観点からも実に興味深く。一度キングジムの食堂にお邪魔してみたいなぁと思いながら、いっぱいメモを取っていました。
遠藤さんは、キングジムに入って六年。これまで、リーダとして3つぐらいの製品を手がけていて、ショットノートが出る時点では、市場の反響もみて、次の事を考えていたそうです。クリエーターは、大きなヒット作品を生み出した後の動き方について、共通の悩みや壁にぶつかる事例もよく見られますが、遠藤さんは先輩からのアドバイスをもとにのびやかな視線で未来を見据えてどんどん進んでいるようでした。
今日の教訓)
会いたいなぁと思う人に、昔、会っていた。
今日会う人も、いずれそうなる人かもしれない。
男子三日みざれば括目してみよ。
最近、よく、そう思うのでした。
括目してばかりじゃ、だめ。自分がされる側にも、やっぱりならないと。
今日、無名の私に会った人が、いつの日か、「これを作った人に会いたい」と思ってもらえる日を想像する。創ることに一生懸命になる。そういう内燃機関の回し方も、ありだなぁと思うのです。