ブレインストーミングの基礎的なコンセプト(ブレストの根底にあるもの)
この三連休は、没頭して、研修スライドを作っていました。
と、いうと、商売行動に明け暮れている感がありますが、私の気持ちの中心にあるのは、「創造工学、特に、ブレインストーミングのプロセスについての研究をしていた時代に得られた知見を噛み砕いて、如何に短い時間で企業さんや公開ワークショップのミニレクチャーの場で提供できるか」という命題に向かって、コンテンツをブラッシュアップする日々を送っていました、というのが、より心象風景を正しく説明する表現です。
今まで、ブレストの本質を語るスライドは、「72枚」ありました。ごく最初のころは、「4枚」だったものが、です。
それらは「4枚スライド+ホワイトボード板書」という講義が徐々に発展してそうなったものです。研修に出れなかった人にも伝えたい、という方(多くは研修企画部さんなど)から依頼を受けて、板書の内容(ストーリーっぽくしゃべること)を、スライドにしてしてきました。
そして、最近、思っていました。
「なんだか、臨機応変さが鈍ったな」と。
現在のスライドの講義が毎年発展していて、それを5年にわたり聞いて下さっているあるクリエーターの先生は「石井さんのブレストの講義は、至芸、という段階に来ましたね。」とおっしゃっていただきました。
それは、ものすごく励みになるお言葉で、うれしいお言葉でした。
そこで、ある種、行きついたと思ったフルセットのスライドですが、大幅に削りました。
もっとも中心的なコンセプトを示す図を2~4つだけピックアップし、それを「話のネタスライド」にしました。残りは板書でストーリ的に語る部分なので、えいっと大幅に削り込みました。
前後のスライドも写り込んでいますが、このうちの8枚が、その圧縮後の姿です。
講義は、「一枚のネタスライド」で中心的な概念を示しつつ、それをネタに、ホワイトボードに展開していきます。
板書、といっても、お恥ずかしながら非常に悪筆(かつ、次々と書き混むような図ばかりを書くので板書をノートテイクされるのがつらいスタイル)なので、その相補的なコンテンツとして「別冊資料」をつくりました。内容的には、従来のスライドを、もっと、印刷物としてみて読みやすいように、コンテンツを調整しました。
魂のこもる講義をしたい、といつも思っています。自分が楽になること、再現性が高い事、を目指して展開せず、その一瞬一瞬の講義・ワークショップに、生きた言葉で伝えられるように。
今回の大幅なコンテンツ変更(板書+別冊資料スタイル化)は、効率、という点からは、悪化の一途なのでしょう。
ただ、もうすぐ40になる自分としては、体力が落ちていくとしても、なお一層、情熱まで含めて伝えられる講義でありたい、と思うのです。
苦しくて手を抜きたいと思う時、いつも、思い出します。私が理想とする「尊敬される企業」の心の中のモデル、中村ブレイスさんを訪問した時のことを。
彼らの仕事は本当に丁寧で愛情のこもった仕事をしていました。
その時に、打たれるように強く感じたのは
「顧客への圧倒的な愛があり、その愛が製品のフォルムに宿る。そういう仕事をされている。」と。
中村俊郎さんを訪ねて、石見銀山まで伺ったのは、もうずいぶん昔です。でも、いまでも、その時のその場の空気は、僕に力をくれます。
- 自分の仕事は、顧客への圧倒的な愛があるだろうか。
- お客さんへの愛が製品のフォルムに宿る、そんな仕事をしているだろうか。
(製品=作品や、講義研修スライドや、ワークショップ、あるいは、このブログに綴る言葉も含め。)
話しが外れて、思想の根源の所に及びましたが、そういうことを考えて、膨大に無駄に努力をしながら、毎日没頭しています。
効率は効率の上手い人に任せて、アイデアプラントは、自らの使命と決めた道を、愚直にひたすらに行こう、と思います。
タイトルに戻して、まとめますと、「ブレインストーミングのルール、その根底にあるもの」というのは、創造的な心理様式を意図的に引き出すテクニックです。これを私は「創造力のガイドレール」と呼んでいます。
創造的になれないな、という日は、どんなクリエーターにもあります。多くの発明家やクリエータの手記などに触れてもその記述が見当たらないことの方が珍しいほどに、そうです。
そういう時に、「自分の心を創造的な方に、ぐんぐん引っ張っていけたらいいのになぁ」という願いをかなえるノウハウが、Aオズボーンのブレストを考案していく前後の記述にあります。
氷山の水面下95%をしることは、スランプの時期を脱出させてくる良い処方箋となります。
そういうことを、もっともっと、カジュアルに、物語っぽく、あるいは、物理モデルっぽく、多くの場で話していきたいと思います。