アイデアの技法 基本的な条件を取り除く(はてなタクシー)
アイデア出しの技法を紹介します。『スウェーデン式アイデア・ブック』(2005、フレドリック・へレーン)という素敵な創造性を育む本があります。そのなかに「はてなタクシー」という話が出てきます。新しいタクシーサービスを考える際に、既存の条件を挙げてそのうちひとつを取り除いて発想してゆきます。タクシードライバーの基本的条件は『①道に詳しく、②車の運転ができること』とあります。①をとりはらい、割安・見習い運転手タクシー制度へと発想を広げています。この基本ステップを整理すると以下です。
1)対象システムの基本的な条件を挙げる。
2)そのうちのひとつを取り除く。
3)その条件下で実現しうるものを発想する。
オズボーンのチェックリストの「削除する」に相当すると考えられますが、この事例はとてもわかりやすいと思います。特に既存のビジネスから、ニュービジネスにジャンプする時に、既存のものの新結合とあわせて、この発想方法を使うと面白いものができそうです。
なお、②の車の運転がきることを取り払うと何が発想しえるか、考えてみました。”道に詳しいが車の運転ができない”タクシー。まさにはてなタクシーです。面白いですね。ひとつには自転車(ベロタクシー)という発想もあるでしょうし、街ナビゲート(エスコートサービス)という発想もありそうです。タクシー乗り場でお客さんの要望を聞いて、新米運転手に道を端的に伝える「走行路アドバイザー」という発想もありそうです。この手法の妙ですね。