ブレストの実際(2)なぜ荒唐無稽を歓迎なのか。
ブレストのルールは4つあります。本格的なブレストをするとなぜルールがそうなっているのかが、分かる瞬間があります。そのほかの文献で言及されていることも含めて、4回シリーズでご紹介しています。第2回目。
荒唐無稽、歓迎
ブレストでは、突飛なアイデア、荒唐無稽、自由奔放なアイデアを歓迎します。アイデアを思いついたときに「どうやって実現するかわからないけれど」とか「十分考慮してないけれど」と思ったときには、ブレストでは迷わず出します。時には、ばかばかしいことを無理やりにでも、言わせるというのも良いです。斬新さと実現性の図の3の領域を!

発散フェーズにのみできること。ビークレイジー。
アイデア出しには、発散フェーズと収束フェーズがあります。ブレストは発散フェーズの作業です。どれほど突飛なアイデアでも、収束フェーズの手順を踏めば、実現手段を描き出すことは可能です。(下の図のAのパス)。逆に、収束フェーズの作業で突飛さを上げることはできません。(下の図のBのパス)。

なお、もし、Bの矢印をしようとすると、かなりの確率で「1の領域へ逆行」がおきます。つまり、斬新度を上げようと努力すると、斬新度がわずかしか上がらないのに、実現度が急激に下がります。そうなると、これを取り戻すために、実現度を上げる努力をしてようやく2の領域に戻ります。このプロセスを繰り返して、右上の「星」へたどり着くのは非常に時間と忍耐力が必要。
[コラム] 理想性とは何か。
理想的な商品やサービス、理想的なモノとは何でしょう。創造工学等におけるさまざまな理論では、ヒントになる言葉があります。
1 理想性=効能/コスト(もしくは、効能/[コスト+害])。
理想性を高めるとは、効能を飛躍的に高め、コストを極限までゼロに。
2 根本目的=目的の目的の目的の・・・目的。行き着くところの目的。
根本目的は、「よりよい生活の実現」である。
3 SELF-X(セルフエックス)
物質やシステムが、自動的に有益な作用を実現する。セルフクリーンなど。
などなど。TRIZやブレークスルー思考法などに学ぶ言葉です。あるいは創造工学・シネクティクスなどでは「○○だったらいいのにな。」というセリフでさまざまな理想的な状態を発案していきます。
実際のブレストでは、以上のようなことがどうこうというよりも、「実現度はともかく、『○○だったら良いのになぁ』というアイデアをどうぞ!実現方法は、別途時間を取って考えますから。」というセリフのほうがはるかに有効です。20年前に、携帯電話で世界中の人の日記がみれる、というアイデアを出した人は当時、荒唐無稽な、といわれたでしょう。目の前のアイデアがそうでない、と言い切れることはありません。4つめに述べる「批判禁止」が徹底されていることが、荒唐無稽の推進の前提条件です。