ブレストの実際(5)なぜチームでなのか?
特別編。ブレストのルールではないのですが、ブレストはどうして4人とか7人とか、集団で発想を行う作業なのでしょうか。一人でアイデア出しするときにも、ブレストのルールを自分で意識することで有効な部分があります。それを一人でブレストをする、と表現するならば、チームでのブレストと一人でのブレストがどう違うかを比較してみましょう。そうすることで、個々人の発想力を単に足したものとチームの力が異なることが見えるでしょう。
まず、批判禁止。
これは、チーム作業においては非常に重要。他者が要ることをマイナス要因にさせないための重要なルール。なので◎。
一人で行うときに、自分で自分のいかなる発想も否定しない。否定したいときには生産的文章に言い換えることで収束思考を回避する。この意味では○。
次に質より量。
これは、チームでも個人でも有効に働く作業。ともに○です。
早くアイデアメーションを終わらせる意味では、チームのほうがより有効。
そして突飛さ歓迎。
突飛な発想を自分でするのは非常に難しい。なにせ自分にとって突飛なものというのは、自分のなかにインプット(情報・知識・組み合わせかた)が乏しいものを見聞きしたときの心理状態です。自由奔放という意味では、自分の心理的制限の開放を努力することですが、一人で「さあ、すべての制限を取り払って考えるぞ!」と決めてもそうそう簡単にはいきません。この意味では、個人にとってはやや有効といういみで△です。チームでは、お互いの知らない情報、異なる視点の発言、といったインプットが劇的に増える環境間で突飛さを受け取って自分なりにひねりなおすと他の人にとって突飛な意見になります。チームでは◎です。
そして他の人のアイデアに便乗。
これは個人ではゼロです。アイデアを別の頭に植え替える作業はできません。なので評価は-(ハイフン)です。チームではこの作用が非常に大きく作用します。ここが一番でかい、といっても良いでしょう。なのでチームでは◎です。

まとめると上記のようになります。
誰かとブレストをしたいなぁ、と感じるのは、そんな創造性の特性を感じていることの表れです。もちろん、面白いブレストをするのがすき、という感覚で十分なのです。
会議で初めてブレストをやってみるか、というとき、4つのルールを紹介して、覚えてもらうことは結構、大変です。ピンとこない。そんな意識が参加者の主な意識でしょう。なので、4つを紹介したあとにこう続けましょう。「細かいことは忘れてもらって結構です。今は、とにかく意見を出して出して発散作業をしましょう。批判禁止、だけをとにかく徹底してください。批判は重要で、収束フェーズでぜひ沢山出してもらいたい。なので、思いついたらメモカードに書き留めて、ブレストの間は胸ポケットに大事にしまっておいてください。」
これでブレストをはじめて、エンジンを一つ、二つ、三つ、と始動していくようにリーダが適宜導くことでブレストを効果的に行うことができます。