ブレストの実際(6)収束のルール
うまくブレストができ、アイデアが山のように出た。そういうチームが次に知りたくなるのが、収束のやりかた。ブレストでは批判禁止ということで、実現性度外視のアイデアも随分でました。ここからたった一つのスター・アイデアつくりたい。でもどうやるんだっけ?そこでブレストのルールの本にあたってみます。あるいはインターネットで検索します。するとチームで話し合って選ぼう、とか、かなり難しい手順のものまで出てきます。職業上のアイデアマンではないならば、どれも説明が不十分におもえます。行間から何かを読み取らないと、その作業、よくわからないよ、と。
そこで、広げまくったアイデアをどう絞るの?その声に少しだけこのブログ上でお答えします。まず最初に心に留めておいてほしいことは、『広げることよりも、収束することは、慎重に。』ということ。
多くの方は、はじめ聞くとおもいますが、収束の5つルール、というものがあります。
1 肯定的であれ
2 配慮せよ
3 目標をチェックせよ
4 アイデアを改良せよ
5 目新しさを考慮せよ (出典:『創造的問題解決』)
なぜ収束にルールがあるの?といえば、それはアイデアリストの中にあるスターアイデアとなるアイデアを選び損ねるのを避けるためです。
アナロジーです。
その海の一番おいしいとされる魚を捕まえたい。漁に出た。網でばっさりと魚を100匹囲い込んだ。そこまではいい。しかし、船に引き上げて、活締めしてもってかえるには、多すぎる。せいぜい2~3匹でいい。本当にうまい魚をいれるクーラーボックスにどれをいれよう。
さてどうしましょう。
全部引き上げて、はり、いろ、おもさ、おおきさ、胴回りを一つずつ図りますか。100匹やったら、すごい作業です。そして、大きさでまさるけど、はりがよわい魚とか、胴回りはおおきいけれど、いろがわるいとか、優劣が一目瞭然ではない。そして何匹も、比較のために残していって、しだいに船があふれます。はて、どうしたものか。
ここでルールが登場するわけです。
1 肯定的であれ。
魚をいきなり否定的に捨て始める、っていうのは避けたいです。
しびれるような、完全な獲物がなければ捨てていく。
そういう選び方では、おいしい魚を逃しています。
この魚、どこがいいのかな。どういう料理であじがでるかな。
そういう肯定的な姿勢、重要です
2 配慮せよ
目の前の魚を手元にひきあげずに、一目見て、その辺の魚は
雑魚ばかり。すてておいてくれ、といいますか。だめです。
すべてを公平にきちんと見ましょう。
そして、自分の魚を見る目が、時々偏っていないか、自己チェックしましょう。
3 目標をチェックせよ
当初の目標、どんなさかなをつりたい、とおもっていたか、思い出しましょう。
捕まえた魚の中には、思いかけず、すごくステキなのさかなもいます。
刺身で食ったらうまそうな一品にであう。
しかし、忘れないでください。今つりに来た魚は、煮物のための魚です。
煮込むことに向いていない魚をもってかえったら、また出直しです。
刺身用の魚、逃がすのが惜しければ、そっとポケットにいれてください。
そして今は、煮物の魚を探すことに、専念してください。
4 アイデアを改良せよ
すべての魚がそのまま煮物につかるわけではありません。
一見煮物にむかない顔つきの魚、でもさばきかたを工夫してみると
にものにいけるんじゃない、というのもあります。
また、こいつは煮物に最適、とおもった魚にも、
不用意に料理に使おうとすると致命傷になりそうな鋭い骨があったりします。
魚を素材としてもっと良いものにするために、害を取り除いて
魅力をひきだしましょう。
5 目新しさを考慮せよ
独特の魚がつれているときがあります。他で見たことない。食ったことない。
そんなの食えないよ。と心の中で声がする。
仲間の猟師も、その魚が珍しいものであり、今まで誰も
食ったことが無いのは、理由があるんだ。つまり食えないってこと。
そういって、すてろすてろという内外声が聞こえます。
ちょっとまってください。本当に、その魚、
食えない理由があって食われていないの?
目新しい魚、すぐに捨てずに、ちょっと、様子をみても、
遅くないでしょう。
以上、アイデアを魚に見立ててのアナロジーでした。
逃がした魚は大きい。といいます。
目で見て、大きさがすぐに分かる魚はまだいいです。
大きければ、逃さずに、すくいあげればいいのですから。
アイデアは目に見えません。目の前に吊り上げられたのは
へんてこで、不思議な体つきの魚です。ちっさいから雑魚。
そうおもって逃がしたら、大海を泳いで、驚くほどの立派な魚になった。
そのときに、アイデアの猟師は、「それ昔、俺も、みつけたのに」
と逃した魚の大きさをくやみます。
逃した魚、あとで丸々太って、他の誰かの吊り上げる姿をみたいですか?
収束にルール。そのルールはそんな悔やむ状況がおきることから
あなたを救ってくれます。
しかし・・・
本当に、この5つでいいの?
ルールははわかったけど、どうすりゃいいのさ?
逆ブレストみたいな、5つのルールで行う作業ってないの?
そんな声もあるでしょう。
ちょっと、収束のステップを一緒に見ていきましょう。
具体的に、どういう作業をするのか、ということを
このあとシリーズでご紹介します。