アイデアボード開発プロジェクト(第一期)の最終MTGをしました。
3月9日。デュナミスにおいて、アイデアボード開発プロジェクトの最終MTGを行いました。
この冬は、私にとって初の独自商品開発にとりくみ、アイデアベースであったものや、各種のノウハウ・知識をアイテムへと具現化していきました。全体のコンセプトを作り、さまざまな選択肢をつくり、拡げて、検討し、選び、幾度もブラッシュアップしていく。そんな貴重な経験をさせてもらいました。
商社で仕事をしていたときには、「出来上がった商品をたくさん売る」という活動をしたわけですが、ものを企画して、制作していく、という部分は大変興味深い作業でした。
思えば、MOTの博士課程でベンチャーの成功要因を研究していたときにも、マネジメント視点や、顧客獲得の視点に、自然と重み付けをしていて、「創る」ことの本質には、正面から光を当てていなかったのだと、今この文章を書きながら思いました。(大学院を一度休学して、事業化の支援をしているのには、こうした意図もあります。ベンチャーを知らずして、ベンチャーの研究をしていくことの限界。外部取締役になるような選択肢のない、若い経営学研究者は、コーディネータや長期参与観察としてのベンチャー社員になる、というスタイルもありではないか、と。)
=私見(研究とビジネスの視点で振り返り)=
商品の提供する効能としては優れたものができたと思います。私はビジネススキルやノウハウを学ぶのが好きで、昔から、たくさんビジネス書やビジネス系雑誌を見ていました。それらの中で見聞きしたレベルからいっても今回出来上がった商品(ブレスター:ブレインストーミングのカードゲーム)は、自信を持っていいものだといえます。ゲーム性とスキル学習のバランスが考えてあって、難しいことの座学無しに、ゲームを通じてスキル育成ができるよいアイテムです。
そして、これに似たものは大変少ない、新規性の高いカテゴリーものです。ベンチャーが、これをつくり商品化しなければ、誰がするのだろうか、と。いうニッチ商品ができたことも、ぜひ言及しておきたいことです。
(1)大手のゲームメーカーや教材開発会社が、取り組むには、未知度が高い。(先行事例が少なすぎ、市場規模が予測できない。市場分析するにも、ある程度の既存商品から類推が必要ゆえ。)
(2)「創る」には、スキルのノウハウを持った人と、それをうまく形にする人と、売る人が必要。(専門家によるプロジェクトチームを作る必要がある。しかし、未踏分野の専門家は、大手企業とその周辺に必ずいるわけではない。むしろ低い。)
(3)小規模でとどまったときにも事業として継続できる(=利益が出せる)必要がある。(あるヒアリング調査では、大企業の市場参入は、市場規模が10億円程度になる必要がある、とのこと。私見ですが、近年ではやや下がっていると感じます。それでも、1億円の市場規模は必要でしょう。ベンチャーにとっては、それ以下の市場規模でも、初期の市場としては十分なゆりかごとなりえます。)
(簡単な分析)
ブレスターのような商品が、1億円になるのは、年間販売量にしてどれくらいか、ちょっと試算してみます。
年間1億円(≒月間830万円)
単価5,000円でわると、20,000個(≒月間1,600個)
これを、47都道府県で割ると
425個(≒月間35個)
この数字の規模感でいくと、各都道府県の市街地の大きなデパートか大型書店で、毎日、1~2個売れる、といった量です。
あるいは、日本の総世帯数5100万世帯(世帯平均2.5人:H18総務省)を分母に考えると
2500世帯に一つ、という数字になります。
10年間売れるものと考えると250世帯に一つ。
(もし年間が1億ではなく10億だったら、25世帯に1つ。=100世帯に4つ。)
これくらいの規模間で浸透するものが、大手企業の参入閾値と計算できます。
月間の販売個数が100個程度のうちは、ベンチャーの狙うニッチ市場。いわゆる「ベンチャーは、メガトレンドの傍流を行け」という戦略。脳トレやエデュテイメントといった成長トレンドがありますが、カードゲーム、というアナログという切り口や、アイデア出しのゲーム、という切り口は、決して悪くない、とおもいます。
久々に研究者モードの視点で見て、プロジェクトを振り返っていました。