未来に明るいものがある、と想起させることが、顧客に前向きな意欲を持たせる。
優れたショッピングセンターにいくと、様々なことを観察できます。
最近、仙台の南にできたSCに何度か行ってみて、「おお、これは、明るくてイイ感じだな。」とおもいました。ついつい普段の購入水準をこえたものでも、買ってしまいます。仙台の経済水準からしたら3割くらい高めの設定の専門店のエリアに行くと、人の入りが少なめではありますが、それでも、なるほど、購買力のありそうな品のよさそうな人々が商品を手にとっています。
店舗の基調となる色、文字、商品写真パネル、商品を入れるかご、箱、店員のユニフォーム、店内の動線、などなど、よくデザインされている店も多いです。
マンゴーを主力にしたある喫茶では、価格はかなり高そうですが、それが、当たり前に感じるような、ステキな時間を楽しめそうな店舗づくり、商品デザイン。
カバンや、日用品などの店舗もそれなりに高めの価格設定ですが、手が出ないほどではなく、何割か高い水準、というところです。その店舗に入ると、なんだかうきうきして、手に取りたくなって、それをつかって生活している自分を想像すると何だか楽しい日々がおくれそうな感じがします。カバンなら、ただ丈夫なだけでいい、ではなく、バカンスに持って行きたくなるようなしゃれたもの。日用品なら、日当たりのいいサンテラスで瀟洒なウッドテーブルでパスタでも食べたくなるような、そんな、お皿。
こうした優れた店舗をよく観察していって、共通のものがあると気がつきました。店舗ごとのライトの色、天井の高さ(これは、実際の天井ではなく、釣る下げたライトの高さを調整することで、認知上の天井を作り出しています)、床、壁、店内のサウンド、そのほか中にあるものの全てが、商品を演出しています。
『この商品を使っている人(あなた)の未来は明るく楽しいものである』ということを、非言語で、想起させます。
こうしたものは、言語的に示されたり、露骨にメッセージ性をだされると、すんなりとは受け入れにくいタイプのものですが、高度にそれとなく全体的にそういうものが醸されているので、あくの強さはありません。
そのお店になんとなく入りたくなる。→うろうろしてみるとなんだか楽しい。→気になる商品が目に入り、手にとって見る。→あ、これ、なかなかいいじゃん。ちょっとほしいかも。→値段は、、、ちょっと高いのかな、でも、こんなものか。→う~ん、もうちょっと見てからにするか。でも、これつかったら、なんか、生活がちょっとたのしくなりそうなんだよなぁ。
そんな感じのことをするりと体験します。何人かに一人はそのまま、商品購入になります。人の流れとレジに行く人の割合を見ると、そうそう、レジまでいくひとが多いわけではないのですが、そうしたお店が沢山あるこのSCの中では長くとどまり、3割高い価格水準に感覚がならされていきます。同時に、明日が明るいものであるような感覚がふんわりとしみこんできます。美味しいご飯も食べた後には、「えい、さっきのお店の商品、買うか。」といった感じも出てきます。
自己観察、他の人を観察して、そんなことを考えていました。
未来に明るいものがある、と想起させることが、顧客に前向きな意欲を持たせる。
これは、WEBショップの設定や、講義、サービス、営業、教育、などなど、多くの場面で共通するエッセンスがあるような気がします。