小規模な企業が、簡便に輸出する方法。
海外への出荷を検討していて、輸出の実務的なことを調べていました。ここまでのところ、分かってきたことを、ざっと整理してみたいと思います。
具体的には『英語のネットショップで商品を販売し、クレジットカードで支払い。出荷は、近くの郵便局から、国際郵便で、世界中のお客さんに届ける。』という方法です。
このやり方の前提ですが以下のようになります。
・輸出するものが明らかに安全であること
・輸出するものが軽いものであること
・小口の荷物、単発の受注であること。
補足:
「安全」…危険物・軍事目的への転用が可能なものが入っていると、ややこしいことがあります。「軽い」…ここで整理するのは国際郵便で送る方法です。かさかさと軽いようなものを送る場合に適しています。非常に重量のあるものは国際郵便よりも、(手間はかかりますが)別の適した方法があります。「小口、単発」…非常に大口になった場合、国際郵便よりも有利な方法がありえます。また、届け先が継続的であるは、現地に提携者をもって、そこへロットで一挙に送るなど、もっと効率的な集約方法がありえます。
さて、内容ですが、次のようになります。
貿易のアドバイザーにアドバイスしてもらった内容を書きます。
1、外国への商売は必ず前金に。
後からの代金回収は、外国の場合、国内よりもはるかに困難である。→クレジット、電子送金など。
2、電子送金の振込先は、地元の地方銀行でもOK
個人情報を気にする人もいるので、クレジットよりも銀行振込みを好む人もいる。仙台であれば、七十七銀行の講座でも十分対応可能。
3、関税は先方が別途支払うもの。
日本からは輸出関税はない。受け取り手がその国の輸入の関税から、関税を請求される。※輸出通関手数料、というのは、発生している。郵便局の国際郵便の場合は、郵便局の内部でその処理をしてくれている。便利。
4、手続きは、郵便局で送るときに定型の書類処理をするだけ。
→送り方には4通りほどある。EMSやSALなど。飛行機か船かなどある。重量がますほど、料金増える。
5、返品への対応をあらかじめ考えよ。
対応例:大量に購入する顧客の場合は、最初の一個目だけを「有料サンプル」としてお送りする。(サンプルが、仮に意に沿わないものでも有料サンプルなので、返品なし)一小口の場合は、「返品における費用はお客様ご負担といたします」などの形で、返品への対応を設定しておくこと。(商品価格が小さい場合には返品するケースは実際は少ないと予想されるが。)
6、関税について、さらに詳しい話
例えばアメリカに送る場合。関税がかかる場合は、アメリカの関税から、受け取り手に連絡が入る。関税が関税費用を通達する。受け取り手がそれを支払うと、初めて商品が現地の関税をでて、届く。(なお、別途関税がかかる場合はお客様負担とします、と明記しておくとよい。)
■課税の金額の目安:あらゆる商品を分類したHSナンバーというものがある。実行関税率表、という2~3万円の本に記述がある。例えばビジネスマン向けカードゲームの場合、HSナンバーは9504.40である。JETROのサイト、世界各国の関税率でもみれる。
7、大きな取引になった場合は契約書を取り交わすべし。
8、大きくなったら、代金は、前金もしくはLCを開設して、とり引きするようにするべし。
※LCとは、銀行間の取引。アメリカの買い手が、アメリカの銀行に信用状の取引開設を依頼する。日本の取引している銀行に、その連絡(LCが開設したこと)が入る。日本から、荷物を船積みして出荷したら、日本の取引している銀行から、荷為替手形がでる。というもの。
9、大量に送るようなフェーズになったら、通関業者に。
通関業者は各地にある。たとえば仙台の場合、JETROの冊子『貿易投資ハンドブック』に宮城の業者リストがある。(最後の部分についている仙台版のP5)。通関業者に頼むと「インボイス」「パッキングリスト」などの書類もつくってくれる。取りに来て持って行ってくれる。(海荷業者「乙仲(おつなか)」さんともよばれる)彼らは、相手先の港まで届けてくれる。そこからは、お客さんが頼んだ業者が引き取りに来る。そういうフローになる。
10、PL法など
国内でつけている注意書きなどを英語版にして、付属することは重要。より詳しい勉強をしたいときには、地域の商工会議所などで勉強することが出来る。
以上です。
なお、最後に、まず販売戦術の視点について触れたいと思います。小規模企業が海外へテスト的に少量売る、というケースで何よりも商売として重要なのは、現地でその商品を知ってくれている人がいること、口コミで紹介してくれる人がいること、だと思います。つたない英語でネットショップを立ち上げても見に来る人は少ないでしょう、それにそれがいいものと目に映っても実績の無い外国の商品を買おう、というのは、相当なハードルです。クレジットカードでしらはって、モノがとどかない、というリスクを買う側は想像するでしょうから。なので、現地に、その商品のことをしっかり知っていて、しかも顧客層に強い情報発信力を持っている人がいることが、重要です。その人が、商品と自社のことを信頼して紹介してくれる。それであれば、現地の人も安心して買うことが出来ます。実績の無い会社が初期の市場を切り開くには、ネット上の場合、「情報が届く」ことだけでは足りなくて「信頼が持てる」ことも重要。
ちなみに、現地(北米など)に、そういう商品を認めてくれている人がいない場合はどうするか。多くの場合、そういう人がいないままでスタートしないといけないと思います。JETROを訪問したときに、その辺の課題を乗り越える、いいサービスがありましたので紹介します。
TTPP(トレード・タイアップ・プロモーション・プログラム)というサービスがあるそうです。なかなか、良いサービスです。「楽天市場の海外市場版、のようなもの」のようなもののようです。世界視野で売り買いの活動ができそうです。詳しくはサイトを。