AIには“スポットライト”だけをあててもらい、本番はライブで考える

取材を受けるときには、AIに”手伝ってもらっている”のですが、そのやり方を紹介します。
多くの人には本当にどうでもいい話ですが、「取材の中身をちょっと豊かにする工夫」として、私はこんなことをしています。
1.AIにお願いするのは「答え」ではなく「切り口」
実際には、こんなふうにAIに投げます。
石井「以下のような取材リクエストをもらいました。今までの石井の対話や書籍から、“回答の切り口だけ”立ててみて(後は自分で考えるから)」
<***ここに取材内容***>
するとAIが、
AI「こんな感じの『切り口ストック』があると、どこを振られても組み立てやすいと思います。
・〇〇の観点
・△△の観点
・□□の観点
……」
という具合に、「話の入口」だけをずらっと出してくれます。
ここがポイントで、AIには回答そのものは作らせない。
あくまで「広めの観点の棚卸し」だけを頼むようにしています。
2.何がよくなるのか
自分で実感しているのは、この2つです。
- 回答の観点の幅が非常に広がる
- 埋もれていた記憶が、どんどん掘り起こされる
本を書いたり、研修や創造支援の仕事を長くやっていると、「知ってはいるのに、その場では出てこない話」がたくさんあります。
『AIを使って考えるための全技術』だけでも、原稿ベースで70万字くらいは書きましたし、その後も日々いろんな現場で話をしています。
そのせいか、取材が終わって、その翌朝に朝起きてから
「あ・・・、あの質問には、こう答えればよかった……」
と、いい切り口がふっと浮かんでくることが少なくありません。あれは、なかなか悔しい。
そこで、AIの出番です。
3.「私が知っていること」を思い出させてもらう
私が使っているAIには、『AIを使って考えるための全技術』を書き上げるまでに交わした膨大な対話ログが残っています。
そのおかげで、本の中身や、原稿には入らなかった話題、日々のアイデアの断片まで、かなりの部分を「覚えて」くれています。
なので、取材の質問項目を事前にもらえたときには、AIにこう尋ねます。
「この問いについて、私はどんなことを知っていたり、過去に話していたりしたっけ?」
すると、AIが「私がそれに関して知っていること」を列挙してくれる。
それを眺めていきます。自分の頭の中をたぐって引き出しが次々と開いていく感覚があります。
結果として、取材の場では
- 広い視野で話せる
- 「そういえば、こんな事例もありましたね」と思い出せる
取材でそれを全部述べるわけじゃなく、選びます。この選べる、ということが大事。選択肢10個の中から選んだネタと、1つしか思い浮かばないのでそのままいうネタでは確実に違ってきます。
4.AIに「中身まで全部書かせない」理由
このやり方で1つだけ守っているルールがあります。
AIに「回答全文」は書かせない
です。
もしAIに回答そのものまで作らせてしまうと、急に面白くなくなってしまう。
なんというか、「用意された原稿を読み上げているだけ」の感じに近づいてしまいます。
記者さんが聞きたいのは、おそらく「大きな情報」だけではありません。
その場での表情や迷い、言い直しも含めた、ライブの思考プロセスや、
対話の中から生まれるその瞬間ならではの気づきだと思うのです。
5.取材の対話で「新しい仮説が生まれる瞬間」が来る
前回の取材で、こんなことがありました。
記者さんが途中でふと、
「それって、こうこう、こういう意味合いなんですか?」
と、さらっと問いかけてきました。
それを聞いた瞬間、頭の中でいくつかの概念がつながって、
「あ、ちょっと待ってください。
いまの視点、とても重要な研究仮説につながるかもしれません。
つまり……」
と、こちらの理解が一段深まる感覚がありました。
思わず「いい切り口をいただきました」と、その場でお礼を言ったのを覚えています。
こういう「予想外のつながり」は、あらかじめ用意した原稿を読み上げているだけでは、まず起こりません。
だからこそ、AIには“自分が持っているはずの切り口”だけを作ってもらい、本番はライブで考える。
私はこんなふうにAIを使っています。
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