要素を取り出して掛け合わせる発想作業について考察。
発想の技法のいくつかに共通した発想のやり方があります。エクスカーションとよばれる方法です。おもにシネクティクスなどで用いられています。
たとえば、ある粉末状の新材料があった。これをどんな用途にむけて使う商売をしようか、と考えるケースにおいて、こんな風に考えます。
その素材の新しい効能から用途アイデアをブレスト。
しばらくすると、出し尽くして、もうだれもアイデアがでない。
そこから、エクスカーション、という方法に入ります。
「ある動物」たとえば、「カエル」ときめて、
カエルを皆で思い浮かべます。
カエルが持っている特性、特徴、動きなどを、思いつく限りあげていきます。
ポストイットにかいて、ボードに張っていきます。
例えば・・・
・ゲロゲロなく ・ジャンプする ・ぬるぬるする ・緑色
・泳ぐ ・ベロが伸びる ・卵を産む
などなど。
そして、このカード(ポストイット)の内容と、新素材を掛け合わせて何か発想できないか?と問いかけます。
すると結構でます。
例えば・・・
・その素材、ふみつけた音が出るよう加工する。新しいタイプの泣き砂に。
・その素材に炭酸ガスを吸わせて、温度によって噴出させることで、振動する素材として、何かに利用する。
などなど。
不思議だなぁ、とおもうのは、アイデアが出尽くした、と先ほどおもったのに、このカエルの特徴との掛け算を行うとまた大量にアイデアが出ます。さらにそのアイデアを変えたり、逆にしたりすることで、カエルと関係しない要素でアイデア出たりします。
これは、不思議だと思います。
さっき、アイデアを出しつくした、とおもったときに、皆がカエルという動物を全く知らない、ならば、この状況も分かる気がするのですが、そうではない。カエルの属性なんて大体皆が知っているわけです。自分が出したカエルの属性をもとに、自分で先まで気がつかなかったアイデアを広げる。これはなんなんでしょうね。
(この作業は、一人でやっても出来ます。
たとえば、ポケディアのイデアミキサー、でも同じくテンプレートを自分で作れます。
参考 人太郎 第3話 人太郎 第4話 )
※マンダラートを使うと、紙とペンでかなり「要素」を見つけられます。
このプロセスを転用すると、アイデアのチェックリストとか、何かのデータ集がなかったとしても、机の上に紙とペンがあれば、かなりアイデアを出せます。
思考実験的に展開してみます。それは何をしている行為なのか。と後で見るために。
たとえば、机と椅子と、紙とペンだけがある小部屋。テレビも窓もない。
ここで、「新しいコップの企画案を100個出せ」といわれたら、どうするか。
まず、出るだけ出してみます。
次に、発想の引き出し、つまり材料を机の上にとってきます。とってくるといっても、頭の中に覚えていることを、ですが。
コップと関係ないモノ(生物、物体、無形の何か)を20ほどリスアップします。
たとえば、
・コアラ ・きつね ・さる ・ツチノコ ・龍 ・・・
・くるま ・足つぼふみ ・テレビ ・バイク ・ソファー ・・・
・クラッシック音楽 ・演劇 ・南国の風 ・雨の匂い ・虹・・・
次に、それらを特徴(特徴、特製、動き、独特な要素)分解します。
・コアラ⇒ つめ、けがわ、ころんとしたハナ、お菓子、ユーカリ
・足つぼふみ⇒ とっき、ぐるぐるまわるパーツ、・・・
・演劇⇒ おしゃれ、高い歌声、証明、暗転、・・・
そして、それらの要素合計が100を超えたところで、
コップと掛け合わせてる発想をします。
コップ×つめ⇒ つめがついていて柱に取り付けられるコップ
コップ×とっき⇒ 握りがつぼしげきになってて、リラックス効果倍増マグ
コップ×おしゃれ⇒ 着せ替えマグ、電子レンジで熱すると、絵柄が変わる、とか。マグネットでなぞると釉薬の内側表面に絵が描ける、とか。
こうして、時間が半日あれば、マグのアイデアを100個出せます。
さて、これはどういうことなんでしょうね。
この「関係ないところから要素を引っ張り出してくる」作業をしないでも発想は出来ます。ただ、仮にそれで出尽くした後に、こういう作業をしても、膨大に出せる。その掛け算に使うべき要素は、全て自分の頭の仲にあったはずなのに。
物事を多面的に見る、多面的に可能性を考える、ということは難しい、と専門家の方はいいます。たしかにそうですね。多面的に見ることを人は教えにくい。
興味があります、、、
・人間はなぜ多面的に考えることが難しいのか。
・多面的に見るとはどういうことなのか。
それから、
・多面的な視野を誰もが簡単に持てるようになるには、どうすればいいのか。
最後の問いは、空間的なものならば、比較的らくだと思います。
空間は次元が3次元。なので、前から見て、後ろからみて、上からみて、下から見て、右から見て、左からみる。たとえば素晴らしい造作物ならそうやって、全面から眺めます。あとは中をのぞいてみる、あるいは、回転状態で本質的な意味があるもの(風車とかコマ)ならば、軸回転動作をさせてみる。だいたいこのくらいになります。
ところが、空間だけではなく意味空間のようなものは様々な次元を持ちます。対象物も「人間同士の関係性」だったり「ある種の現象の因果関係」だったりと、手に取れないもの。どういう状況下でも、充分な多面的視点をもつために、必要な観点リスト、といったモノがないのだろうか、と疑問は展開します。
もし、そのリストが出来れば、上に書いた方法は、もっと簡単になるかもしれません。
コップの新商品を考える。
何か思いつくモノを上げる。
観点リストを一つずつおっていく。
アイデアが出る。
なお、SCAMPERが若干性格が似ているかも知れません。でも十分ではないですね。
これに似たものがあります。アイウエオ検索。
しりとりをしていて、もう思いつかないときがあります。
”て”からはじまる言葉は・・・・、と。
その時には
”てX”のX(エックス)に、あ・い・う・・・と入れていきます
てあ・・・?手合い?てあ、、、う~んパス。
てい・・・?丁寧、低調、定義、ていの後はありそうだな。
⇒そうなったら、ていY、でYをあいうえお検索
てう・・・?てう、、、はないな。
といった感じです。
すると意外と単語が出てきます。さっきは思いつかない、とおもったのに。
この「要素を取り出して掛け合わせる発想作業」というのは、脳が考えやすい方法なんだろうと思います。でもなんでなんでしょうね。