「アイデアの価値」に関する一考察
アイデアプラントは、アイデアだしの代行サービスを中心に、知的生産活動をサポートするサービス事業です。
アイデアの価値、というものをどう考えるかは、重要であり、また大変難しい問題だと思います。「現時点では」、この事業の代表者として私は、アイデアの価値を以下のような目安で考えています。
大きな利益を生み出す事業の基となりうる「アイデア」を生み出すことは、とても大変で創造的な仕事です。
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それを事業化する企業側では「アイデア」を具現化するために大なり小なりの研究が必要です。その「研究成果をものにする」には、アイデアを生み出す10倍の労力がかかります。
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その「研究成果」を「開発して商品にする」には10倍の労力がかかります。
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つまり、アイデアを基にした商品で企業が利益をあげる場合、「その利益の1/100が、アイデアが貢献したものである」という考え方を目安としています。
(例)そのアイデアがもとで誕生した商品が「総売上=1億円」の商品となった場合をモデルケースとして。
商品販売で企業のえる利益が「売上の10%」と考えれば利益は、1,000万円です。その1/100は、10万円です。つまり、その商品化のベースとなるようなアイデアを提供できたとするならば、そのアイデアの対価は10万円、という計算になります。
もう一歩進んで、述べますと、そのアイデアが商品化の中心的なアイデアではなく、「商品化への周辺的なアイデア、工夫」などの場合は、さらに一桁小さい、という目安で今は考えています。(つまり商品化したときの利益の1/1000)上記の例で言えば、一億の売上の商品について、周辺アイデアの対価は1万円、という計算になります。
アイデアプラントでは、さまざまな企業規模のクライアントから、さまざまなアイデア出しの依頼を受けます。商品化や販売量向上のコアとなるアイデア出しのこともあれば、周辺アイデアの依頼のこともあります。一依頼あたりの報酬は、大体5万円、という水準ですが、商品の周辺アイデアやユーザー視点の意見だしであるケースでは、それが利益の「1/1000」であることをかんがえると、「その商品の総売り上げが5億円規模をねらう商品」という場合に適切な対価である、ということになります
もうすこし噛み砕いてみたいと思います。商品のライフサイクルは近年、どんどん短くなっています。5億の総売上を、仮に4年で上げるとかんがえると、一年あたり1億2千万円。ひと月で言えば、1,000万円の売上の商品、ということになります。上記を集約しなおすと、『毎月の売上が1,000万円規模の商品の、創造に協力して周辺アイデア・工夫を出した場合の対価(の目安)は、5万円』といいかえることが出来ます。
毎月1,000万円を売り上げる商品のアイデアに対する報酬として、いくらが妥当かと問われたら、現在は、「5万円」と答えたいと思います。
ただし、この議論は非常に単純化して個別の事情や商品特性を捨像しての議論であることに注意が必要です。将来的は、アイデアの対価の評価手法について、仮説検証をくりかえし、事業を通じて市場に問うことで、より顧客価値を正しく反映した評価方法を開発してゆきたいと考えています。
また、アイデアプラントでは、アイデアだしだけでなく、ある種のコンサルティングに近いことや、提案書やプレゼンなどのコンテンツを作成することもあります。このときには、また違った目安で考える必要があると思います。(現在思案中です)
以上、アイデアプラントの報酬をクライアントのかたとご相談するときに、基準にしている考え方を掲載させてもらいました。
(とはいえ、マネージャーとして、悩みもあります。参加してくれる学生さんたちはプロジェクトごとに非常にがんばって、アイデアだしやコンテンツ作成をしてくれます。「時給」という考え方だけが全てではありませんが、顧客価値(=報酬金額)を学生さんたちの総稼動時間でわると最低水準を割り込んでしまう案件も時折あります。そのときには、経済的な価値以外の報酬を学生さんたちが得るかどうかも考えます。それもあわせても十分な労働の報酬が得られない場合には、継続的に組織と人材を育てる上での本質を外れてしまうので、マネージャーとしては悩ましいところです。)