なぜ彼らはアイデアが出にくかったのか?
ある場でのブレストを振り返り、なぜあのチームはアイデアが出にくかったのか、と考えていました。【B】
発想作業の基本要素からいえば、次の3つがチェックするべきポイント
・テーマは適切か?
(アイデア出しのテーマ(持ち込まれる課題)は、オーナーシップがあるか、下にひく力はなにか、属性分析はできるか)
・情報は十分か?
(アイデア出しのテーマ(持ち込まれる課題)に関して、充分に理解しているか、充分に情報をもっているか)
・ジェネレーターは適切か?
(既存の要素の意外な組み合わせを作り有意なアイデアにするための、アイデア作りの方法を十分に持っているか、発想トリガー手法、テーマ再定義手法)
この3つがあります。
その上で、発案スタイルと発案を受け止めるアウトプットのスタイルに選択肢があります。
発案スタイル
・ブレインストーミング
・ブレインライティング
・カードブレインストーミング(フリップボード・ブレスト)
アウトプットスタイル
・アイデアをホワイトボードに列挙する(発言を書記がかく)
・アイデアを紙に書いて共有する(各自がシートに書く)
・デジカメ動画に記録する(書記はマインドマップを写り込む位置で書く)
この最後のビデオに記録するについては説明をしますと、大きな利点と欠点を補う工夫があります。ボイスレコーダーは、強力なツールですが、視覚的に提示されたものが抜け落ちます。手振りなどで空間的に示されたものなどが。今は、デジカメの動画の性能、記録メディアの大容量化が進んでいるので、デジカメを、チームの全体が記録できる位置にセットしてずっと流しておきます。ただ、これだけだとリアルタイムのアイデアを促進する効果がかけています。チームはブレストの間に時間をまきもどして考えることができないため、場合によっては苦しくなります。そこで、記録の目次の効果も兼ねてマインドマップを書記が書きます。デジカメの調整をして、ホワイトボードも写り込むようにします。書記は話されたことをマインドマップで書きとめて行きます。本当に単語レベルで結構です。詳しい話は短期的には記憶に、長期的にはビデオに残ります。この短期的には、があるおかげで、ブレスト中には話しの広がりの枝が見えていてブレストが進みます(書き留め効果…たくさん出した、ということが地震になり加速する、という効果もあります)。後でリーダがこのブレストを巻き戻して拾い上げたり、あるいはその場で、さっきのアイデアを見たい、というときには、「万度マップで左上のその辺を書き込んだ時の発言」というような感じにして動画を大まかに検索できます。ブレストの目次、あるいは、ブレストを巻き戻すためのインデックス、になるわけです。
以上補足終わり。
さて、これらのアイデアの一連の活動をささえる「創造的な心理状態」があります。それは、ブレストの根底にあるものです。ですので、ブレストをさせる、ということと同義に近いですが、発案スタイルのどれの場合でも、本質的には同じものを抱えて作業をする若です。
その創造的な心理状態は4つのガイドライン
・判断を遅延しよう(アイデア出しの終わる20分後まで)
・突飛なアイデアを歓迎しよう(とんがったアイデアを優れたアイデアの材料にしよう)
・質より量を求めよう(すぐに思いつくこと、当たり前なもの、が出つくすと独創のフェーズに)
・他の人のアイデアに便乗しよう(アイデアの周辺には別のアイデアがある、多面的に広げよう)
ブレストのルール
・批判禁止(原義は判断遅延)
・自由奔放(原義はワイルドなアイデアを歓迎)
・質より量(原義は量を求める)
・他の人に便乗(原義は便乗し、結合・改善)
原義はオズボーンの複数の書物に表現されているものを、ざっくり統合しています。正確な表現はオズボーンの著書をご覧ください。
以上が、アイデアが出にくかった時に、振り返り、チームをチューニングするときに必要な知識のすべてです。
なお、これは全部ではなく、フルセットを説明したので、通常はほとんど、細かいことなしに、1つか2つ、アドバイスを受けるだけで進み始めます。
また、これらは「アイデアを出す」ために必要なフェーズの話でした。本当は、一段上の高さから、創造作業を俯瞰すると、隣には、あと2つほど、作業の塊があります。
「アイデアを出す」
「アイデアを絞る」
「アイデアを磨く」
これが、創造の基本プロセスです。
アイデアが出にくかった、を乗り越えるにもいろいろ工夫がありますが、その先には、同じくらいの2つの山場があります。そこのフェーズに悩む人が、世の中の発想法の本を見て「物足りない、以下に絞るかがかいていない」と嘆きます。アイデアを出す、にくらべて、後半の作業は、1/100くらいの情報量しか、効果的な説明が、ありません、書物ベースでいえば。
その点については、また、いつか、場を改めて述べたいと思います。