2009.06.14 石井力重とは 99年の修士時代の論文自宅の書斎の書籍を大量に電子化&資源リサイクルしています。 97~99年に、私は東北大学の理学研究科・物理学専攻の博士前期課程(いわゆる修士課程)に在籍して、量子力学の研究をしていました。 当時の研究テーマは、微視的な物理現象の理論である量子力学、そのなかでも、シュレディンガー方程式を駆使して、観測が引き起こす波束の収縮、という現象を論理の枠内で説明を試みる(ごくごく初歩的な)研究をしていました。 その論文をここに掲載してみます。同じものは、東北大学の理学研究科の物理図書室に(たぶん)所蔵されています。 プレ発表の時のスライド(5~10メガ) 修理論文_プレ発表_研究の動機_実験を解明する理論モデルの解説.pdf ・量子力学において、観測モデル(カウンターと量子系のユニタリーな相互作用の形でモデル化したもの)の基礎的な説明が前半をしめています。 当時、研究室でこれを発表した時には、先輩院生と指導教員がうなだれていたのを覚えています(笑)。本発表の近いプレ発表の段階で、何をこんな基礎的な説明のスライドをつくっているんだ、ということで、私の周囲が多いに焦った、という代物でした。ただ、今の私から見ても、このスライドの方が、一般向けの説明としてはいいのではないかなと思います。もちろん、量子力学を一度も聞いたことのない人には意味が全く分からないと思いますが。 修士論文(および、その後の学会での発表スライド)(20~30メガ) 修士論文_独立なボーズ凝縮体間の干渉性について.pdf 私がはじめて書いた論文というべき体裁をもったものでした。当時は状に長い時間(それこそ修士の最後の冬はひたすらこの論文を書いて徹夜していた)でした。自分では今では書けないような文章だとおもいました。また、当時、自分がよく使っていた理論が今ではほとんど思いだせない(その本質的な意味は思い出せるぎりぎり、ですが)ので、当時あれほど自在だったことも、使わないと忘れるんだなぁと思ったりしました。 ただ、この素養があったために、理系修士卒の商社マンというへんちきりんな属性だった5年間で、研究所のお客さんとはすごくうまがあって話ができた、というのもありました。 一応、私自身の土台を形成している理論物理の素養として、自己満足に近い位置づけですが、ご紹介してみました。 蛇足: 当時、99年という時代背景は、東北大の修士論文発表は「OHPが主であり、パワーポイントでの発表も可」というレベルでした。電子化しようと思って、書棚からファイルをあけたら、たくさんのOHPシートが出てきて、なつかしいなぁとおもいました。当時の学会発表は、OHP、でしたよね。OHPをつかってアニメーション的なことをしたり、創意工夫が楽しい時代でもありました。ただ、直前で修正ができないことと、手書きのスライドが多くて、悪筆に辟易した先生もいた、そういう学習環境でしたね。 « 初期の正しさ→モデルの限界 地元仙台での仕事 »