ものがたりを作る「新・桃太郎」
娘に作って聞かせた「新・桃太郎」です。
(この話は、創作したものであり、本当の桃太郎の話は、かなり別のものです。桃太郎についての正確な話を調べる人は、絵本などの標準的ものがたりを、ご覧ください)
年老いて子がない夫婦がいた。
村の人から、大きな桃に入った神様の子の伝説を聞いた。
ある時、川で大きな桃が流れてくるのを見つけ、伝説の桃だとおもった。
河岸へ引き上げて、お爺さんとお婆さんはうちに大切に運んだ。
中に子が入っているはずと思い、慎重に桃を切った。
中には、子がいた。
神様の子だから、将来、きっと偉業を成し遂げるだろう、とおもい、とおもって大切に育てた。
村に干ばつがやってきた。
桃太郎と村の若者「猿太」「犬彦」「鳥太郎」は、井戸をほった。
桃太郎の身長よりも深く深く地面を掘った。
3か月が過ぎるころ、水が出た。
豊富な水量だったので、村人は渇きがいやされた。
そして、さらに、治水工事を行い、各畑に水がいきわたるようにした。
翌年、豊作となった村に、周囲の村から食べ物を求めて人々が集まるようになった。
村は栄えた。周囲の村も食べるものが手に入り幸せだった。
そこに、奥の奥の村から来た人がいた。桃太郎に言った。
奥の奥の村も、ひどい干ばつで食べ物がない。
村に井戸を掘ってくれないか。と。
桃太郎と村の若い集は、井戸掘りの旅に出ることにした。
村の人たちは、栄えていたので、桃太郎たちに精一杯の
食料を持たせる。
長い時間かけても腐らないように、
きび団子やほしいい(乾し飯)をもたせた。
道中、隣の村も、奥の村も、干ばつで苦しんでいた。
桃太郎は「今は、ここにとどまることができない、
しかし、いずれ戻って、ここにも井戸を掘ってやらねば」
と思った。
先を急ぐ桃太郎。
道中、わんわん(これは娘のリクエストで登場した、TV番組のキャラクター)、おさるのジョージ(娘の好きな外国のアニメ)、はじめ鳥さん(これは、娘のしっていたTV番組のキャラクター)が登場。
わんわんは、きび団子をもらい、合流する。
餞別として、わんわんの仲間から薬箱をもらう。
ジョージは、歩いていて合流する。きび団子を
おいしそうに食べる。
奥の奥の村の手前には、奥の奥の森がある。
深い森で、ひとたび迷えば抜けられない。
入口で、はじめ鳥さんが登場する。
きび団子を挙げる。仲間になって道案内をしてくれる。
森を抜けるころ、子鬼がいた。泣いている。
桃太郎は、悪い鬼ではないと気が付き、話しかける。
怪我をしていた。
わんわんの薬箱で、けがの手当てをしてあげる。
子鬼は笑顔になって、ありがとう、といって
森の奥にかえっていく。
奥の奥の村に着く。
ひどい干ばつ。
わんわんに、水のにおいのする所を教えてもらう。
さっそく井戸を掘り始める桃太郎と若い集。
しかし、ここは土が硬い。なかなか掘り進めない。
奥の奥の村の人たちも手伝い、堀すすむ。
しかし身長ほどの深さまでほって、
すごく固い地層につきあたった。
村の人たちは、長い干ばつで体力がないので
すでにへばっている。
桃太郎は困った。
「このままでは、3か月どころか、何年かかるかわからない」
長い干ばつで弱っている村の人たちは、そんなに長く持たない。
そこへ、前に助けた子鬼がやってくる。
「桃太郎さん、何をして遊んでいるの?」という。
桃太郎は、地面を掘って水を出そうとしているが
固い岩盤にあたって、難航して困っている、といった。
子鬼は森にとってかえり、不思議な篭手をもってきた。
「これは、鬼につたわる篭手だ」
といって、それをつけると、穴に入った子鬼はみるみる
岩盤を掘り進んで、あっという間に深い穴をあけた。
すると水が吹き出し、その井戸は、まんまんと水をたたえた
井戸となった。
村人たちは、おいしい水でのどの渇きをいやし、
元気を取り戻した。
各畑に水がいくように治水工事をして、
翌年には、村には水と食べ物が行き渡るようになった。
この村も、周囲の村に食べ物を供給できるようになり
豊かになった。
村人たちは、桃太郎たちに感謝して、
帰りの道中に必要な食糧をもたせた。
来た時に通った奥の奥の森。
3人の子鬼がいた。あの子鬼の友達だ。
閻魔大王さまのしゃくをある子供から取り返そうとしている。
(これは娘のリクエストで登場したTV番組の世界観)
そこで、桃太郎もそれを見届けることにした。
(おじゃるまるの世界観のなかで、いろいろ話が起きて…
とくに、おさるのジョージが活躍して…)
さいごに、子供はしゃくを、ぽこんと2つに分けた。
それをもって、子鬼たちは閻魔大王さまの所にいく。
取り返したことを褒められる。
半分のしゃくであったことも閻魔大王さまはわかったが、
それで充分、よしとした。
奥の奥の森にもどった、3人の子鬼、それから、前に助けた子鬼は、
桃太郎に、「鬼の篭手」を挙げることにした。
桃太郎は、これを使って多くの人を救う、と誓う。
帰りの道中、干ばつに苦しむ村に立ち寄っては、
三日三晩で井戸を掘り、村に水を与えた。
桃太郎たちが通った道中にある村はどこも
農作物が豊富にでき、栄えた。
桃太郎の通った道は「桃太郎街道」となずけられ
桃太郎の育った村には、多くの人がやってくるようになった。
桃太郎のおかげで救われた各村の人たちは、
毎年、桃太郎たちに、お礼の品を運んでくるきた。
桃太郎と村の人たちは、とても幸せに暮らしました。
…それから
おじいさんとおばあさんと桃太郎の家には、
家宝として鬼の篭手が、代々大切に受け継がれた。
この鬼の篭手が、現代に伝わり、新しい出来事が
おこるのですが、それは、また別のお、は、な、し、です!
(娘が、拍手して、お話終わり)
こんな感じのお話を作りました。
基本となるプロットは3分ぐらいで考えて
あとは、途中途中で娘のリクエストで登場人物や
世界観を取り入れたミニばはし、を入れて、目的にむかって
お話が進行します。
話をした総時間は、2時間くらいです。
どんな村なのか、とか、おいしいきび団子の味について
考えてみたりして楽しんでいました。
桃太郎が鬼退治の冒険にでて、
財宝をもってかえり
村が豊になる。
というオリジナルの話から、
・人々を苦しめる存在がある
・それを解消するための冒険に出る
・解消して村に豊かさがもたらされる
という基本構造を取り出して、
悪さをする鬼の退治ではなく
「干ばつ」という人々を苦しめるものを打破することを
目的にしました。
桃太郎の中に出てくる動物の3匹は
桃太郎の共感者として一緒に井戸掘り事業を行う若者に。
(ただし、娘のリクエストで、さらに3匹の動物は登場)
鬼は「弱者」として登場し
鬼の篭手という魔法の道具の「贈与者」として
話しの要部に登場しました。
鬼が島から持ち帰る財宝の代わりに
助けた村から感謝のしるしとして
毎年届くお礼の品、というものにしました。
その結果、
桃太郎は、諸国をまわり、
井戸掘りと治水工事という
社会的事業をなして回った偉人、
という話になりました。
新・桃太郎は、そんなお話でした。
いつか、「桃太郎の家に伝わる鬼の篭手」が
現代でどういう展開を見せるのか、
物語りを作って語ってあげようと思います。