(3)「試行」段階
・この段階に入ると、事業色が一気に強まってくるため、この段階で企業を設立するケースが多い。まだ事業会社ではないが、一歩手前の事業開発会社とでも言える段階。事業の進行状況で見ると、
・製造業であれば試作開発、
・ソフト会社であればベータ版開発・配布を行うまでになる。
・流通業であればモデル店による営業活動がスタートし
・サービス業であれば一定の地域や顧客層にテスト的にサービスが開始される。
・コアスキルについても、すでに開発・獲得は終わっており、特に知的財産権については、出願を済ませている。
・この段階では、事業システムが60%程度まで固まっている状態。ただ、最終的にどの事業者と正式に関係を結んで取り組んで行くかについて選択の可能性を残している。
・人材面については、数人以上が正社員として参加するようになり、事業化にむけて一丸となって推進している。したがって企業として進む方向についても、しっかりした理念・ビジョンの確立が欠かせない。
・試行開発のためには相当の資金が必要になるため、資金調達は極めて重要になる。自己資金の豊富な経営者以外は、外部からの調達に頼ることになる。ただ、まだ試作ができていない中での資金調達となるため一般的なベンチャーキャピタル(VC)からの調達には苦戦することが多い。したがってエンジェル的な投資家、あるいは、シード専門のVCからの調達が中心とならざるをえない。
・この段階から必要になるのが管理業務。まず組織管理で重要なことは全員周知の意思決定。形式的なフォーマル化も必要。また、実績管理についても、まずは資金繰り中心ではあるが、予算実績管理をスタートさせるとともに、個別業務処理についての管理をスタートさせる必要がある。規定類についても最小限のものを揃えて運用することが求められる。