(4)「事業開始」段階
・この段階は、本格的に事業を立ち上げるための極めて短い期間。ただ、どのようなスタンスで事業を立ち上げるかが、その企業の将来のポテンシャルを決める重要な時期でもある。
・ある1事業について、「試行」段階でのトライアンドエラーを繰り返して構築してきた事業システム、管理システム両面の「システム化」を受けて、事業を一気に立ち上げる。これまで同企業がネットワーク化してきたすべての人材、取引先などとの関係をフォーマル化して、本格的に動き出す。ただ、さまざまな問題が発生してくるため、それらへの修正を逐次かけながら動かしていく。極めて緊張感に満ちた時期。
・人材的にも、各業務経験者を要所に配置しておき、その連携についてもスムーズにいくような手はずを取る必要がある。
・「事業開始」のためには、相当の資金が必要。建物・装置などの設置設備、サンプル品や在庫、売掛金などの運転資金に加え、先行的な採用による人件費などが発生。顧客からのクレームや検収待ちによる追加資金など、当初予定以上の資金が必要となるため、余裕資金の用意が不可欠。
・したがって、本格的なVCからの資金調達が必要で、事業計画書を基にしたVCとの信頼の中で進めることが肝要。また、事業展開を一気に拡大させるために、戦略的に事業投資家からの出資をあおぐことも視野に入ってくる。
・クリティカルな時期であるため、管理体制については、タイムリーな運用体制が求められる。業務、資金繰りなどの状況をリアルタイムに把握するとともに、迅速な意思決定が出来るシステムの構築が求められる。その一方で外部からの支援を得るために、オープンな体制を構築することが必要。
・経営者には、このような状況をリードできるリーダーシップと、冷静な判断力、体力が求められる。