(5)「事業拡大」段階
・この段階は、急速な成長を実現する時期。前段階で高レベルの事業運営の仕組みを作り上げれば、急成長を実現することも可能。ただこの時期には企業参入が激しくなるうえ、顧客からもさまざまな要求が突きつけられる。これらに対して、企業としても常に新しい製品・サービスを開発して、顧客の信頼を高めることが求められる。
・そのためには、コアスキルやそれに基づいたシステムを、より一層強化するための研究開発投資を持続的に実践していく必要がある。
・人材面でも、多彩な才能を持った人材を採用する必要がある。そのためには、常にやりがいのある仕事を創造できる環境を整備し、成果に対するインセンティブを高める制度の導入が不可欠。
・企業としてのリスクが相当低下するため、資金提供者は増えてくる。事業が順調であれば、株式公開が視野に入ってくるため、資金が必要な場合はそれまでの間のブリッジファイナンスを行うことになる。また最近ではマザーズなどの開設で、この段階での株式公募による調達も可能に。ただ、現在の問題は、株価がオーバーバリューになりがちなこと。短期的に企業は潤うが、その結果、従業員に対するストックオプションの行使価格が上がったり、株主もその後損失を蒙ることになるなど、中期的にはデメリットが大きい。適正なディスクロージャーと株価政策が求められる。
・経営者の資質としては、事業の推進力に加えて、ステークホルダー全体のメリットを考慮するバランスのある経営力が求められてくる。