人間性の高い仕事と人機共想(アイデアプラントの年始所感2026)

2026年になりました。
21世紀の「第二・四半世紀」が、ここから本格的に始まります。
歴史を少し引きで見ると、第二・四半世紀というのは、前の世紀の影響が薄れ、その世紀固有の流れがはっきりと姿を現してくるタイミングだと言われます。
思えば昭和の時代に思い描いていた21世紀っぽくなかった21世紀初頭でしたが、2022年末あたりから急速に「あの頃の未来」につながり始めました。2026年は、AIに関して言えば、「どう使うかを模索する時代」から、「あることが前提の時代」へと入っていきます。準備運動は終わり、日常フェーズに入る感触があります。
では、そんな時代に、人は何をしていくのか。
アイデアプラントは、2026年をどう動いていくのか。
新年の静かな時期を一人で熟慮して過ごし、見えてきた輪郭を書いてみたいと思います。
■人間性の高い仕事へ ―― Hモードという考え方
AI時代になると、人間の仕事は二極化すると言われます。
一方は、効率化・自動化される領域。
もう一方は、「人間性の高い仕事」です。
アイデアプラントでは、後者を『Hモード』(Humanityモード)と呼んでいます。
このHモードの中核にあるのが、私がここ数年注目してきた S・E・N・D(センド) という要素です。
- Sensitivity(感受性・傷つきやすさ)
- Empathy(共感、特に情動的共感)
- Notion(まだ言葉になっていないモヤモヤした考え)
- Dedication(没頭・やり込み)
特にDedicationは重要で、SENDにおけるDの本質は「献身(的に頑張る)」ではありません。人が何かに没頭しきったとき、そこにはその人しか辿り着けない知が生まれます。「学ぶ、蓄積する」ではなく、他の誰も知らない暗黙知が「生成される」瞬間です。
AIがどれだけ賢くなっても、ここは代替されない。むしろAIが便利で高機能になるほど、人はここを担うことになる。そんな感触があります。
■研修は、会議室から外へ出ていく
Hモードの文脈で考えると、従来型の研修のあり方にも、少し違和感が出てきます。
会議室で、スライドを見て、知識をインプットする。もちろんそれが無意味になるわけではありませんが、感受性や直感力を育てる場としては、やや弱い。
これからは、離島や山間部など、環境そのものを変える研修が増えていく気がしています。
一泊二日、あるいは二泊三日。非日常の中で、感覚をひらき、直感を使い、言葉になる前の思考に触れる。いわば「直感力研修」です。
これはスキル研修というより、人間のOSをアップデートする時間に近い。
2026年以降、こうした学び方は、静かに広がっていくのではないかと思っています。
■もう一つの軸 ―― HAIモード
一方で、もう一つ、明確に取り組むべき軸があります。それが HAIモード です。
Human × AI。これを「HAI」と書いて、「ハイ」と読みます。
人とAIが共に創造する。
これは一時的なブームではなく、社会のメインストリームになっていくでしょう。ありがたいことに、その文脈で書いた本『AIを使って考えるための全技術』が多くの方に読まれました。著者としてのそれに伴う責務もあり、同時にチャンスでもあります。
「語る」だけでなく、どう実装するか。2026年は、ここに踏み込みたいと思っています。
■PAIスタイルと、創造性の民主化
HAIモードで、特に面白いと感じているのが、
人間2人(ペア)+AI1体で進める「PAI(パイ)スタイル」です。
人が一人でAIと向き合うよりも、人同士の会話があり、そこにAIがいるほうが、圧倒的に創造的になれます。
このPAIスタイルを前提に、
●AIと一緒にアイデアを出す
●AIと一緒に調べる
●AIの力を借りて、ユーザーを洞察する
●AIと一緒に仮説を立てる
そして、途中途中に関門を置き、
●参加者同士で評価し合う。
最終的には、どのチームも企画書、プロトタイプ、あるいはユーザー観察の準備まで行く。遊びながら、しかし本気で「企画という行為」を体験する研修合宿ワーク。こういう研修企画の依頼が昨年からじわっと増えています。創造力の民主化の時代なのだと思います。
■創造性は「思いつく力」から「見抜く力」へ
ここ数年で、はっきり見えてきた変化があります。
それは、創造性の重心が、「創造的発散」から「創造的な目」へ移りつつあるということです。
アイデアを出す力(Creative Imagination)は、AIによって下駄を履きました。
次に問われるのは、「その中に、何を見いだすのか、選ぶのか」。私はこれを Creative Curation(クリエイティブ・キュレーション) と呼んでいます。
キュレーションの中には、センスだけでなく、
- Values(価値観)
- Ethics(倫理観)
が含まれます。
何を良いとし、何を選ばないか。
この判断は、AIには委ねきれない。
これからの創造研修では、アイデア生成のみ、エスキス的な議論、つまり相互評価や価値判断の時間が、むしろ重要になっていくはずです。
■2026年に向けて
AIがどれだけ進化しても、人間が担うべき役割は残ります。
- 問いを起こすこと。
- 見抜くこと。
- 方向づけること。
- 価値を判断すること。
- そして、何を大切にするか肚を決めること。
2026年、アイデアプラントはHモード(人間性)とHAIモード(人機共想)、この二つを両輪として進んでいきます。
AIが賢くなるほど、人は「キュレーター(見抜いて組み立てる人)」として成熟する必要がある。
こんなことを視野に入れてこの一年を皆さんと共に進みたいと思います。皆様どうぞ今年一年もよろしくお願いいたします。
(余談)
なお、この文章は、年末年始の内観時間で浮かび上がったことをAI音声対話で紡ぎ出し、AIで文章素材化し、人力(私の推敲)にて文章にしたものです。
例年は、完全人力でこの作業を行い、その結果年始の2日間を費やしていました。しかし、今回は、皿洗いをしながらAIと会話しているうちに文素材までできました。その後の推敲も含め、2時間で完成しました。2日間が2時間に。大げさでなく生産性の不連続な進化だと思います。小さいけれど確実な実感を日々感じている21世紀の第二・四半世紀の初めでした。
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