アイデア出しに困ったら、振り返りたい3つのこと。
アイデアの創造の根底的なメカニズムがあります。
折に触れて話したことをここにまとめて見たいと思います。
1.アイデアの量は「インプット」×「アウトプット」である。
より詳しく書けば「インプットの量」×「アウトプットの技法」です。アイデアを沢山生み出そうとしたら、アイデアのネタになる引き出し、つまり旬の情報、過去の優れた事例、広範囲な分野の知識、などを沢山持っているほうがいいんですね。これは多くのクリエーターやビジネス開発者が発言しています。そして、アイデアを沢山生み出そうとしたら、頭の中にある情報や記憶を、効果的に組み合わせてアイデアの断片を生成していく必要があります。このときに「発想法」とよばれるものを沢山もっていると、効率的に発想を出していけます。発想法は、創造的な頭の使い方を体系化して、再現できるようにした「考え方の数珠繋ぎになったもの。」です。思考プロセス、一言でいえばそういうものです。
極端に言えば、意識してインプット量を2倍にした人が、更に発想法をいくつか知っておいてアイデア創造の効率を二倍にしたら、前に比べて4倍のアイデアが出るようになります。一日に20も30も出さないといけない。そういう職業人としてのアイデアマンは何かをしているか、といえば、根底にはこういう構造にのっとったことをしています。
2.アイデアは既存の要素の新しい組み合わせである。
これは実は例外が1%弱、あると考えられます。詳しくはTRIZのような技術系の発想法に譲ります。ここでは99%は、上記の定義が正しい、と受け止めて、それを主にした話をします。既存の要素。これはインプットや過去の知識。これをばらしてそこに別の要素を入れてみる。それはちょっとしたことですが、新しいビジネスの芽になったりもします。ちなみにイノベーションの定義も類似する構造を表現しています。興味深いですが当然のような気もします。既存の要素を新しい組み合わせ方で組み合わせる、ということを「古いアイデアを新しい場所におく」「古いアイデアに新しい衣を着せる」という表現も時折なされます。かつてのヒット曲もいずれ下火になりますが、全く新しいテイストのリズムにのせれば、今の若い世代にとっては「新鮮ではじめて聞く音楽」です。空中からぽこん、とアイデアを取り出すかのように、人は発想を自然とするわけですが、そこにいたる近道(意識の水面下の作業を表面で行う、ともいえるかもしれません)としてのこの定義、ではないかとおもいます。
3.優れた創造作業には、発散思考と収束思考を時間で分けること。
人間は、発散思考で未成熟なアイデアを沢山生み出します。収束思考で、ブラッシュアップしたり現実の風にさらして消し込んだりします。これを同時にしていくと堂々巡りだったり、チームでやると話が広げるのと絞るのが両立して混乱します。もめたりもします。意識して、「発散フェーズでは広げることに専念」し、「収束フェーズでは絞ることに専念」すると優れた創造活動が行う安くなります。特に複数人の頭で考えている時はそうです。よくある好ましくないケースはこうです。発散作業中にいきなり、そのアイデアのまずいところ、心配なとこを指摘し始める。収束作業中に、未成熟なアイデアを投入したり、目標とは違った方向にアイデアを発展させる。(特に最後のケースは一般には、認めてしまいがち。これをすると、タイムアップになったときに「終わらない会議」になっています。)
以上です。
なお、発散のフェーズに必要な発想のガイドラインは、ブレインストーミングの4つのルールです。それから絞るときにも5つのガイドラインがあります。オズボーンの著書「Applied Imagination」に詳しくあります。『創造的問題解決』のP15にもあります。
ガイドラインをベースに、うまく発想を引き出す一連のステップが構築されています。これが各種の発想法、とよばれ世の中に存在しているものです。テーマのカテゴリー(ビジネス、技術、人間、社会、生活などなど)によって、あるいは、概要か詳細かのレベル違いで、使いやすい発想法は変わります。どれを使うかを判断するのは発想法に不慣れな人には苦しいと思いますが、上記のような基本が分かれば、判断のさいにだいぶ、材料になると思います。