脳は3つの基本部位に分かれている。シフトアップ!
一人の人間が創造的になったり、どうしても創造的になれなかったり。これはどうして起こるんでしょう。一つの視点が、脳の活動する部位によって、創造性の度合いが変わることと、どういう状況下で活動する部位が変わるか、ということから論じたモノがあります。
『創造的問題解決』P10を中心に、脳の3部位と創造にむけたシフトアップをご紹介します。(正確な引用でなく一部意訳、言い変えします。)
『三位一体の脳』(Paul McLean:ポール・マクリーン)という本に、脳の構造の非常に単純化されたモデルがあります。
●脳幹(Brain Stem)
●辺縁系(Limbic)
●新皮質(Neo-cortex)
脳の中心部にあって、原始的な生物にもあるのが脳幹。脳のもっとも外側にあって、深い思考能力を提供しているのが、新皮質。脳幹と新皮質にあるのが辺縁系。
参考文献をもとに意訳すると
●脳幹
脳幹をマクリーンはそれを「爬虫類の脳」とよぶ。爬虫類が持っているものと本質的に同じだからだ。この脳はいかにして食物を得るかとか、食物でないものはどれか等を区別する生理学的および心理学的な生き残りに関する脳である。防御、本能および自動行動の領域である。何か新しいものに対する爬虫類脳は、「それを攻撃せよ、それから走って離れよ、それを食べよ、とか、それに注意するな」といった類のもの。
●辺縁系
脳幹は私たちの気分に影響を及ぼす。ホルモンと他の化学物質を調整する。それは感情を支配する本体である。ここの化学物質は、病気や健康、幸福や恐怖をつくり出す。辺縁系の標語(motto)は「感じる、感じる、感じる」である。
●新皮質
辺縁系の上に鎮座しているのは、新皮質、すなわち「新脳」である。話したり、考えたり、問題解決をするための司令塔である。新皮質は学習脳、すなわち創造的思考の源である。それの標語は「学べ、学べ、そしてつくれ、つくれ、つくれ」である
そして、「シフトアップ」と「シフトダウン」の話に続きます。
加速学習センターのディレクターであるデイブ・メイアー(Dave Mieier)によれば、あなたは思考が発生している「場所」を意識することで、創造的モードにできる。
脅かされいる状況は負の感覚をつくり出している。
辺縁系は実際に、脳の思考場所を抑圧する化学物質を放出している。これによって人々は自動的に爬虫類脳へ「シフトダウン」してしまう。
シフトアップは新皮質からの思考である。新しいアイデアが必要なときには、意識を爬虫類から新皮質に上方推移させなさい。シフトアップさせることで学習、創造、成功が約束される。
以上、までが、文献を元に要約したものです。
この脳の部位とシフトダウンの話には、とても貴重な示唆があります。
「抑圧されていることによって人間の脳は、爬虫類の脳へシフトダウンしてしまう。」ということです。
不安、緊張、焦り、怒り、不信感、否定感など、ストレスやネガティブなことがあると、脳は「学ぶ、つくる」という3速から、「感じる」という2速や、さらに、「攻撃、走って離れる、食べる、食べ物じゃないので注意を払わない」という1速にシフトダウンする。ということです。
なので、眠い、とか、疲れた、とか、おなかが減った、とか、寒いとか、激務とか、寝ていないとか、けなしあい、いがみ合う、などの状況があると感じたら、知的生産が難しい状況なので、いったん、沈静化するためのブレークをするほうがいいのでしょう。
その状況で仕事や作業や会議をつづけると、人は、「生き延びる」ための部位で考え始めてしまう。命の危険を感じたら逃げる。そのモードにはいっていると、建設的なことよりも、相手を攻撃したり、逃げたり、食べるような本能的な作業をする。これでは質の高い仕事はできません。
今、思考の発生している場所は、脳のどの部位か?とちょっと考えてみるだけで、
随分、創造的な仕事が生み出せるようになるのかもしれません。