tangible+ソフトウエア、仮想世界との橋に注目。
初めて目にしたもの。人間の認知の特性上、それが何であるのか、どういう意味を持つのか、を理解するまでに、それを手でもてあそんでみたり、いじり回してみたりして、基本的な要素や意味性・構造を理解します。
手にとって触れること-tangible(タンジブル)-は、新しいアイテムの理解にとって非常に重要なようです。
ところでソフトウエア、あるいはPCやネットの中の世界について。これは人はごく初期の段階で、とまどいます。右上のところを押して、とか、○○キーをおしてこうして、といったことを「物理的な認知」をとおして、PC内の仮想世界を、擬似的な物理世界へと再構築しているようです。
その階段をのぼっていると、ソフトウエアの新しいのに触れたときにも、その「擬似タンジブル」ができているので、比較的早く慣れます。
PC初心者が高度なソフトの中の概念についていけないのは、そうした、PCと物理的な実際の世界をつなぐ最初の端がないため、擬似タンジブルが出来ないため、では無いでしょうか。
PCをずっと触っていると持ちはじめるある種の感性、感覚。対象ソフトをぐりぐりと動かしている感じ。(多分マウスやタッチパッドの物理的動作も寄与していると思います)。
PCになれた人でも操作感がおおきくことなるソフトでは随分とまどいます。極端な例としては、数年前におばがかった「ワープロ専用機」というもの。それは独自のOSがあり、キーボードと専用ボタンがいくつも。一見PC風ですが、操作がことごとくPCと違うので、ずいぶんとまどいました。慣れるまでが大変だなぁとおもいました。自分のPCなら直ぐに出来る作業も、それでは2時間かけても出来ませんでした。
これが、タンジブルなものだと大分違うようです。異なる道具でも触っていると「ああ、なるほど」といった感じに比較的早く理解がヒットします。
そこで、tangibleとソフトウエアの橋、という考え方です。本来タンジブルなはずのモノがタンジブルでないケースが増えています。その逆もあって良いとおもいます。玩具、とは本来、tangibleとfunとtoolの3要素がありますが、最近はこのタンジブルがない玩具が増えつつある。デジタルな玩具です。仮想世界でぐりぐりとうごかす感覚が育っているんですね。さて、ではその逆、にヒントを得ると次の可能性が考えられます。
「ソフトウエア修得専用アイテム」
ソフトウエアの世界でぐりぐりと動かす感覚。それをPCに慣れていない人の中に育てるために、ソフトウエアの世界観に近い動きをもったアイテムをソフトウエアに同梱する、というスタイル。具体的にどういう形をしているといいのか、わかりませんが、ある種の基本動作が実際にそのアイテムでアナログの上で行えて、それをもとに、仮想世界内の理解を深める。というアイテムが考えれます。
例えばセカンドライフ。仮想世界の中の操作に疎い人に。操作パネルをプラスチックでつくり、ボタンを押したりダイヤルをひねったりする何か構造をもつ。実際には、それがコントロールする必要は無くて、ただもモックアップでいいのではないかと思います。
先にあげたワープロ専用機ならば、特殊な操作メニュフォルダーの形状を、真似した展開ファイルフォルダーを、実際に紙やビニールでつくって同封しておく、それだけかなり理解が進むと思います。
これからは高度なソフトウエアには、プラスチックで出来たら、「擬似tangible促進アイテム」が入っている時代になるのではないか、ふとそんなことを思いました。